2008年6月15日日曜日

出張授業~高崎女子高校

素粒子実験の音野です。

0to1で出張セミナーの旗揚げを昨年度1月に行い、今年度最初の訪問が実現
しました。私は素粒子実験を行っており、今回の訪問は当研究室の研究員吉
岡の大学時代の御学友が群馬県の高崎女子高校で教諭をしていたため、その
縁で出張セミナーの依頼がきました。

さて、内容ですが
講義:内容は素粒子物理の理論と実験の発展(吉岡研究員)
実験:霧箱をつかった放射線測定(私、音野)
が担当し、実験補助として村瀬、高橋が参加しました。
事前学習としては
「素粒子って?、加速器って?、α線β線γ線って何?」
というトピックで各自自由に調べてきてもらいました。
(想像をはるかに超えるくらい皆が調べてきていたため、かなり驚いた)

最初に吉岡研究員の講義ですが、女子高出身のメンバーからの適切なアドバ
イスを糧に練習を重ね、生徒全員の興味を引き付けることができ、次の実験
への導入としても非常によかったと思います。
次に私の担当する実験が始まりました。まず、霧箱の歴史、原理をスライド
で説明した後、実際に生徒一人あたり一個の霧箱を組み立てます。これは既
にキットとなっており、簡単な工作で完成することができるものでした。そ
して、砕いたドライアイス、エタノールを用いることで、キャンプ用のラン
タンから出てくるα線の観測が始まりました。
暗幕で暗くなった部屋に生徒の懐中電灯が光る中、「見えた!」、「見えな
い!」などの活気ある声が部屋中から上がり、最終的には全員の霧箱でα線
の観測に成功しました。部屋を明るくした時に見た上気した生徒の顔はとて
も印象に残っています。そして最後にその他の放射線測定技術の話をして終
了となりました。

質疑応答では事前学習の効果か予想外の本質を捉えた質問が続出し、担当の
吉岡、音野両名とも驚きを隠すのに精一杯でした。生徒の皆さんも満足して
いたようで、アンケートにもさまざまなことがたくさん書いてありました。

また特筆すべきは任された時間(90分)ぴったりに終了し、実験準備も円
滑に行えたことです。これはセミナーを行う者として当たり前のことなので
すが、前回に当研究室が主導して行ったときは大幅に時間を超過したため、
時間内に終わることが今回の課題の主な課題の一つとなっていました。今回
のセミナーは時間を守り同時に質を維持することの難しさを実感し、そして
それらを達成することで今後の活動への自信が得られたと思います。


さて、今後0to1の活動として、7月に3校、9月以降にも2校予定されてお
ります。今回のセミナーも終わってみると改善点などが浮かんできているの
でまた気持ちを切り替えて、これからも頑張っていこうと思います。

2008年6月11日水曜日

サイエンスアゴラ2007報告書完成!

西原さんの努力の甲斐あって,以下のようにサイエンスアゴラ2007の0to1報告がまとまりました!
皆さん,お疲れ様でした.

ワークショップ リーダー:佐々木
こちらは広報室でお渡しできます.

展示 リーダー:三宅
http://sc.adm.s.u-tokyo.ac.jp/0to1/files/agora07-EX.pdf

2008年6月9日月曜日

エイリアン展その2

国立天文台の成田です。
昨日は日本科学未来館エイリアン展で開催された「エイリアン・ジュニア会議」にとよたけくんと共にゲストとして参加してきました。

企画展の一角に設けられたスペースで、50分というやや長い時間にも関わらず、小学生くらいのお子さんから年配の方まで多くの人が立ち止まって聞いていってくださいました。
簡単な自己紹介後に行われた質問のコーナーでは、出た質問もかなり多く、その場ですぐ答えていくスタイルだったので、なかなか緊張感のある50分でした。
今回のゲストは惑星科学と天文学が専門でしたが、エイリアンというテーマのため質問の内容が生物よりのこともあり、やはり生命科学の人も一緒にいてもらえると心強かったなぁと思います。
(エイリアンの寿命の質問などはそちらの東京大学の池内さんどうですか?、と振ってしまいそうでした・・)

この企画展のテーマであるアストロバイオロジーはそもそも分野横断的な学問ですし、これからもうひとつの地球探しというアストロバイオロジーにつながるテーマで研究をしていく上で、研究者間の横のつながりをつくることの大切さを感じました。

また、前に座っていた印象では「おお、結構多いなぁ」という感じだったのですが、スタッフの方の話では食事時の13時からというお客さんの入りが少ない時間帯を狙って、お客さんの数を抑えていたそうです。
確かにトーク終了後にエイリアン展の入り口を見たら、かなりの行列ができていました。
地球外の生命というテーマに、皆さんの関心が高いことがよくわかりました。
またどこかで、多くの方とコミュニケーションできる機会ができたらいいなと思います。

2008年6月8日日曜日

エイリアン展










日本科学未来館の企画展「エイリアン展」の関連企画である「研究者と語ろう! エイリアン・ジュニア会議」が開催されました。

未来館科学コミュニケーターの住田さんが全体を構成し、講演者として0to1から国立天文台PDの成田さんと地惑M2の私(豊田)が参加しました。
 
エイリアンや惑星探査について来場者の皆さんが抱く疑問に、院生やPDの立場から科学的な視点で答えていく、という対話形式のイベントでした。

イベント前はどれだけの人が聞いてくれるのか、聞いてくれるとしても盛り上がるのか、とちょっと心配でしたが、蓋を開けてみればとても盛り上がって楽しいイベントになったのでよかったです。

終ってから思うに、子供から大人までが同時に観客となるイベントは初体験だった気がします。たとえ子供相手であっても、手抜きをしないで誠実に答えるという事が大切だと思います。

セミナーで笑ってる?

昨日は、こんなに自由で楽しいセミナーをしたのって初めてだなあって、思いました。
大学院生をやっていると、学生が発表する形式の講義やら、研究室内のセミナーやら、学会やらで、人前で話をする機会は結構多いです。でも、そんなに「楽しくて幸せな雰囲気」を作り出せた経験はなかなかありません。

0to1のランチセミナー、今回は私の番でした。「詩人が愛した植物形態学」というお題目で話を用意していったのですけれど、たとえばシチリア島の話題を出すと「そういえばシチリアってさ、マフィアが招集した研究集会やってるんだって」と話し出す人がいるかと思えば、「シチリア行きたーい!」って叫んでる人もいる。でも、ちゃんと落としどころでは「へぇ、そうなんだ!」とみんな喜んでくれるし、「ねぇ、それはどうなってるの?」と鋭いツッコミが要所要所でとんでくる。なおかつ、遺伝的ネットワークの図を出すと、「これは群論の視点で見るとおもしろいんじゃないか」と、私の思いも寄らないような話題で盛り上がったりする。すてきです。

この人たちと一緒にいると、「しかめっつらして学問しなくてもいいんじゃない?」と素朴に思います。そして、ここ以外の場所でも、自分の周りに自由闊達な雰囲気を作り出せる人でありたいと思う今日この頃です。