2008年7月27日日曜日

半袖焼けと引替に

 海の日の三連休、0to1ミーティングをすっぽかして長野に遊びに行ったら、ひどい半袖焼けをしてしまいました。この夏、もう半袖着られない。。。

 長野には、虫の研究をしている私の中学以来の親友がおり、彼女と私の共通の友人、生物系のM2女子計5人でセミナー(プラス山登り)をしてきました。この5人、所属機関はまちまち、研究材料もさまざまで、土壌動物・農業害虫・急流の岩の上に生える草・ぺんぺん草の仲間といったところ(もちろん、害虫をやっている彼女の研究も、駆除を目的にしている訳ではありません。研究材料をこよなく愛し、その「生物学」に魅せられているのです)。

 研究材料・興味・アプローチが異なるため、話が発散しては実りが少ない。そこで、共通テーマを設定しました。「Model Organism or Not, That is the Problem.」生物学をやるうえで、どんな材料を選ぶかというのは大問題です。材料によって研究環境(使える手法、手に入る情報量、競争の激しさ…)が大きく異なるからです。何を考えてその研究材料を選んだのか?ということを一つの切り口にして話してみたら、というのが私の提案でした。

 「私植物の話は全然分からないかも…」「彼女の卒研発表のとき、日本語の専門用語を聞いているはずなのに、頭の中で漢字変換すらできなかったんだけど…」などなど、セミナー前は不安気な面々。でもいざセミナーを始めてみたら、うまい具合に活発な意見やコメント、質問が飛び交い、大盛り上がり!「Model Organism or Not, That is NOT the Problem.」という予想を超えた回答も。ひとり小一時間ずつしゃべり、その後は長野の研究室の人たちも巻き込んで、深夜2時まで飲み語り合いました。翌日は山でも議論・おしゃべり(←だから日焼けするんだって!)、帰りの新幹線のなかでも話は尽きず…。


以下、友人たちにもらった感想を転載。

・普段は僻地にいるため,同年代の人と研究の話や夢について話す機会が少ないから,今回の交流会は本当に意義のあるものになりました.それに異分野の人と活発に議論できて,それが純粋に楽しかったりして。サイエンスっていいもんだなと・・・なにより,自分と同じようにがんばっている同志がいることが,モチベーションになったかな.

・今回のセミナーは私にとって、自分のスタンスを再確認するいい機会になりました。誰かに話すって、自分の考えがまとまってないとできないから、発表するためにあれこれ考えて……考えているうちに、自分のスタンスを見失ったり、再構築したり。勉強になったなぁと実感してます。


半袖焼けはたかだかひと夏ですが、ここで培った友情は一生モノだ!なあんてね。

…と、0to1ブログに0to1の活動じゃないことを書いちゃった(^ ^;)

2008年7月18日金曜日

夏期出張授業最終章!~学芸大附属高校~

さてさて。
夏だ!理学だ!出張授業だ!
と始まった怒涛の出張授業三連続の取りを飾ったのが、学芸大附属高校です。

正式名称は東京学芸大学附属高等学校。このエントリを書いている小寺(生物・D1)の母校で、のどかな世田谷の住宅地にたたずむ国立高校です。ちなみに小寺はこの高校の44期生に当たります。
今回の出張授業では最初にコンタクトをとった高校の先生の紹介で、同じく卒業生で京大の大学院で研究するトーマスも参加してくれました。トーマス、はるばるありがとう!!

当日は講演者+助っ人2名の計4名で高校に赴きました。

機材や教室の準備をした後お昼を頂きながら、出張授業についてや最近の高校生についてなど先生といろいろお話し。最近は進路指導に力を入れているそうです。

13時10分から本番スタート。
講演者2人の専門が非常に近いということもあり、今回は生物に特化した特別セミナーという形で執り行いました。

セミナー全体のタイトルが
“いのちの不思議に魅せられて”

個別タイトルが
トーマス「美しさの向こう側」
小寺「生きてるって、どういうこと?」

わざわざ聴きに来て下さった副校長(小寺の高校時代の古文の先生)をして、「いやぁ、哲学的だね~」と言わしめました。そうなんです、生物学者は哲学者なのです。

各40分ずつのセミナーは無事終了。その後、教室を移動してフリートークに入りました。 学芸大附属高校での出張授業では、このフリートークの時間をたっぷりとったということが特徴的です。セミナー中や直後に質問は?と問いかけても、シャイな高校生はなかなか手が上がりません。

ところが、フリートークに入るとしゃべるしゃべる。研究内容について、生命科学全般について、日々の実験について、高校時代に勉強したこと、遊んだこと、などなどなど、とにかく、次々と質問が出ます。当初は30~40分の予定だったのですが、1時間たっぷりと高校生たちと様々な話をしました。

講演は2人とも、前半はやや易しく包括的な話、後半は自身の研究テーマにまで踏み込んだ話、という構成になっていて、後半はおそらく、高校生たちにとっては少々難しかったのです。ところがフリートークでは、研究内容に踏み込んだ質問もたくさん出ました。そう!そこは重要なポイントなの!と言いたくなるような質問をしてくれると、私はうれしくて背中がぞくぞくしました。

フリートークが伸びた関係で、その場での反省の時間は十分にはとれなかったのですが、参加して下さった3人の先生は、アンケートやメールで大変丁寧な感想を寄せてくださいました。
高校生にとっては、年齢の近い大学院生が語りかけてくれるということで、近い将来の自分たちの姿を想像しやすいこと。また、実際日々手を動かして研究をしている者の話は非常に鮮明でわかりやすく、研究の面白さや、研究対象に対する愛情が感じられたこと。などなど、高校生にとって素晴らしい機会であったとのお言葉を頂き、感無量でした。


この夏の出張授業を通して、我々も高校側も、得るものは十分にあるということは実感できました。後は、いかにコスト(負担)を軽減しつつ、質の高いものを提供していくか、今回の経験を活かしてより良いシステムを作っていきたいと考えています。

夜は授業参加者以外にも0to1メンバーが集まり新宿でお疲れ様会。
熱い数日間を一緒に過ごしたトーマスを夜行バス乗り場に無事送り届けて、怒涛の夏期出張授業は幕を閉じたのでした。

川越高校出張授業

月曜日は7月の出張授業3連戦のまんなか,川越高校での出張授業でした.

感想から言うと,0to1のプロジェクトが走る前に一度,自分の研究室で川越高校で授業を行っていたので,自分としてはかなりリラックスして講演を行うことができました.とはいえ,自分としては桐蔭学園に続き中1日での連続登板であり,やる前は両方をうまくこなせるか,結構ナーバスになっていたのですが,蓋を開けてみたら案ずるよりも産むが易しで何とか乗り切ることができました.

今回の私の授業のテーマは「光」.物性物理の関連で話をしてほしいという,そもそもの要望があったため,このようなテーマ設定になりましたが,「光」の本質を理解することが現代物理学を理解する上で,もっとも基礎になるということに改めて気づかされたという点で,自分にとっても今回の授業はとても有益だったと考えています.

川越高校の先生は物理教育に対して大変熱心であり,先端のアドバンストな物理をどこまで生徒に正しくかつ分かりやすく伝えられるか,またそこから将来の研究者を目指す生徒をたくさん育てることをテーマに,長年熱心に,粘り強く物理教育に取り組んでおられます.

先生と行った授業後の反省会では,やはり先生の持ち前の几帳面さで的確な指摘がありました.姿勢一つ,ポインタの使い方一つ,口調一つ.先生が内容も然ることながら,このような点を指摘するのは,先生の実感として,多くの生徒が授業の途中で迷い込むのは,些細で本質と関係のないところで集中力が乱されてしまったりするため,というのが実は多いという考えなのかもしれません.瑣末なようにも思えて,じつは重要なことではないかと私は思います.


永村さんの持ってきた,シリコンの表面の結晶構造の模型は事前に僕が予想していたものより軽く3倍は大きい代物で,どんな袋にも入りません.村瀬くんが助っ人として運ぶ段取りになっていましたが,彼は運ぶ直前までそれを知らされず,いきなり模型を渡されて唖然.

帰り道,池袋駅にて.

村瀬「こんなに街でみんなに見られたのは初めてです」
私「そうか.とびきりの美人の気分を味わえて良かったじゃないか!」
村瀬「いや,そういう問題じゃないですよ(怒)」

ということで彼はまた一歩大きく成長したみたいです.めでたしめでたし♪

2008年7月16日水曜日

桐蔭学園に行ってきました!

出張授業プロジェクト第○弾です!!!
…えーっと、第何弾でしたっけ(爆)

すいません、性格的にまじめな文章が書けないので、100円のアイスでも食べながら読み物としてゆるーく楽しんでください。 ああアイスが食べたい。

自己紹介を忘れていました。わたくし、永村と申します。物理学科博士2年です。お局的な世代です。

時は西暦2008年4月。新緑の眩しい陽気の中で、この企画は胎動を始めた。
将来を担う若い学生達に、現場のサイエンスの魅力を伝えたい。必ずしも研究者を志さずとも、これから理系の学問を勉強してみようという学生が増えて欲しい。
そんな熱い想いをこめて、私は横山さんとともに、私の母校、桐蔭学園へと帰ってきた。そして旧知の先生方に、この企画を持ち込んだのだ…。

すいません、プロジェクト○風に書きたかったんですけど、長くなりそうなので当日までの流れは省略します(おい)

そして迎えた7月12日。出張授業当日です。
夏だ!理学だ!出張授業だ!
すばらしい快晴です。大人はビールが恋しくなるような暑さ。

講師、助っ人総勢10人でお昼過ぎに桐蔭学園に到着。
ちょっとした遠足気分でございます。

時間は
1限目1時45分~2時40分、2時限目2時50分~3時45分
授業構成は、
教室A・1限目 タイトル:「中身よりも大事な表面の科学」 講師:永村
教室B・1限目 タイトル:「惑星探査ウラ話」 講師:豊田
教室C・1限目 タイトル:「素粒子実験に見る科学のココロ」 講師:生出
教室A・2限目 タイトル:「いのちの不思議に魅せられて」 講師:小寺
教室B・2限目 タイトル:「わたしの話すことは全てウソです。」 講師:松尾
教室C・2限目 タイトル:「ダークサイドへようこそ!」 講師:宮武
という豪華6本立てです。
講座の中身についても触れたいんですが、それをやるとますます長ーくなってしまうので、講師の皆さんにコメントしていただきましょう♪
あらかじめ生徒さんには、どの講座が聞きたいかアンケートをとってあり、各授業だいたい10人~40人くらいの生徒さんが集まって、熱心に講座を聞き、後から色々と質問をしてくれました。
昼食後にも関わらず眠ってしまう生徒さんがいなかったことにびっくり!
予行演習のかいあって、ほぼ予定通りの時刻(10分オーバー)で講座は終了。
講座終了後も、「宇宙の果てについて」から「高校時代にどんな勉強をしていたか」まで生徒さんと講師の歓談タイムが繰り広げられていました。

その後は桐蔭の先生方との反省会。
・研究の楽しさが伝わってきた。
・大学院生ということで年が近いから親近感があった。
・この世界にはまだまだわからないけどがあって、それを追求するサイエンスの面白さが伝わった。
など概ね好評でした。
今回は希望者を募って講座を展開しています。他の出張授業企画でも同様です。 先生方から
・0to1は何も無い所から何かを生み出すことなのだから、サイエンスに必要な「なぜ」という引き出しを持たない学生に、最先端のサイエンスの話題を提供することで、サイエンスへの興味を生み出すことも必要なのではないか。
という意見をいただいた時には、目の覚める思いがしました。
私自身も、高校生の時には理学にものすごーく惹かれていたわけではないので、もし高校生の時にこんな講座を聞かされていたら、もっと早くから勉強を始めていたかもしれない。
しかしながら、希望者ではなく、全員に講座をする場合、質問しやすい今回の授業の雰囲気を作るには、生徒の数だけ講師の数も沢山必要なんですよね…。難しい問題です。

何はともあれ、大事なのは生徒さんの反応だと思うので、これから、生徒さんからのアンケートや感想をまとめます。楽しみですわ☆

私達自身も、同業者でない方々に、自分の研究について説明するというプレゼン能力が鍛えられたのではないかなあと思います。
あと、2限立てで授業していたので、他の講座を聞くことができて面白かったです。こういう形式も悪くないですねえ。

それから夕方5時過ぎに、無事に桐蔭学園を出発した私達は、ビアガーデンで打ち上げをするべく夜の街へ消えていきましたとさ。ちゃんちゃん。

2008年7月7日月曜日

あつい季節の到来!

まだ7月の声を聴いたばかりだというのに、この週末は随分と暑かったですね。夏の到来と期を同じくして、0to1では二週連続ミーティングが開催され、議論に火がつきそうな気配が漂っております。

先週は、中尾さんというお客さんが来て、彼女が制作した映像の試写会をやりました。私たちとは違う立場・視点で科学と社会の関係を考えている方との交流は、考えさせられるものがあります。活発な意見交換の後、ご飯を食べに行きました。お客さんが帰った後も、日付が変わるまで飲みながら語らって、メンバーの新たな一面を見たり、語らいの中から新しいものが生まれたりしました。またちょくちょく飲みましょう!(でも、次は帰れる時間までにしよう…)

今週は、ランチセミナー特別篇「Nature/Scienceを詠む会」の初回でした。発起人えのとさんの番で、超新星爆発の話題が展開されました。内容の概略に加えて研究の背景を垣間見ることができたのは、案内人があってこそ。おもしろい企画がスタートしましたね〜。

ミーティング後は、去年のサイエンスアゴラで取材を受けたTV番組をみんなで見ました。身を切るような議論と、へろへろになりながらの資材調達や工作をしていた、楽しい日々を思い出しました。

今年のアゴラでは何が待っているのでしょうか?楽しみ楽しみ…。